アルコール消毒
消毒用エタノールは、ウイルス本体を包み込んでいる脂質性の膜「エンベロープ」を持ったウイルスに対して消毒効果を発揮します。
インフルエンザウイルスやヘルペスウイルス、そしてRSウイルスなどはエンベロープを持ったウイルスです。消毒用エタノール(アルコール)は、これらのエンベロープを破壊してウイルスを消毒します。エンベロープを持たないノロウイルスやロタウイルスには効果はありません。
日本医師会によると、消毒とは「生きている微生物(ウイルスや細菌など)の数を減らすための処置」のことで、必ずしも微生物をすべて殺したり、取り除くことではないとされています。ちなみに、消毒に最も適したエタノールの濃度は80%前後です。従って消毒用エタノールの濃度は80%前後に調整されていることになります。しかし80%を超えると逆に除菌力が低下するとの報告もあります。
アルコール使用は弊害も
コロナの影響で飲食店や商業施設の販売カウンター等の様々な接客窓口ではアクリルのパーテーションなどのアクリル製品が使われています。これ等のプラスチック製品やアクリル製品を消毒目的や清掃で拭く機会が増えていると思いますが、高濃度のアルコール(70%以上)を使い続けるとクラック(ひび割れ)が発生する場合があります。その他にトイレの便座でABS樹脂製もアルコール厳禁で、ひび割れや表面がザラザラになります。
アルコール厳禁は意外なところでも
航空機の窓も内側はアクリル製なのでアルコールやアルコールシートは使用厳禁です。ピアノやエレクトーンも同じくアルコールは使用厳禁です。鍵盤はアルコールの影響で割れが生じる恐れがあります。鍵盤は演奏者が自分の手をアルコール消毒したまま触れることや演奏後の鍵盤を直接アルコール消毒してはいけません。
身近なものに意外とアルコールに弱い素材が使われているケースがあります。アルコールを使う場合は目立たないところでパッチテストをしてからにしてください。
アルコール使用の注意点
- 可燃物で火の近くでの使用は禁止(火気厳禁)
- 過敏症の方でなくても過度に使うと肌荒れを起こす
- 目に入った場合やミスト吸引、誤飲などは危険(スプレー使用注意)
- 有機溶剤なので、印刷、プリント文字が消える場合がある
- 塗料や接着剤は溶けるおそれがある
- 革製品は光沢をなくすことがある
- アクリル、プラスチック製品、ABS樹脂には使用できない(ひび割れ、劣化)